作品撮り :写真をお互いに利用する協力関係
みなさん、こんにちは。
カメラマンの野口悠治です。
このページでは、主にモデルさん、タレントさん、インフルエンサーさん、ヘアメイクさん、アクセサリー・ファッションのデザイナーさんなどに向けて書いています。ぜひ読んで頂けますと嬉しく思います。
要旨としては、「撮影した写真をお互いに利用する協力関係を築いていきたい」という意図で、僕側の姿勢やその具体的手順などについて記述したのがこのページです。
目次
■「作品撮り」とは
カメラマンにとって、依頼を検討しているお客様がカメラマン自身の技術について評価する時に参考としてもらうプロモーション素材を持っておくことが重要です。そういったプロモーション素材、作例といったものを撮影することが「作品撮り」と呼ばれます。撮影依頼をする側からすればどのような写真を撮ることができるのかが分からないと、そのカメラマンに依頼をすべきかどうかという判断を下すことは難しいので、この問題に対応するのが作品撮りという位置づけになります。
同じようなことは、モデルさん、インフルエンサーさん、ヘアメイクさん、アクセサリーやファッションのデザイナーさんなどにも共通すると思います。カメラマンも含めましてこれらの関係者は、別に発注主がいてそのもとで仕事をするということも多く(雑誌や広告など)、お互いが必ずしも依頼・被依頼の関係ではないことも多いです。それならば、利害が一致する範囲において、お互いの協力関係を強く築いておきたいと僕は考えています。
■「作品撮り」の製作物の扱いと費用について
作品撮りにおいて製作された物を誰がどのように使用するかという前提によって、その扱い方法と費用が設定されます。
まず費用についてですが、上記のような関係者が集まった作品撮りとなった場合(撮影した写真をお互いに利用する場合)、実費分を人数割にしたり作業量を配慮したり、必要な費用はお互いに調整が必要になります(結果的にお互い無償になる場合もあります)。逆に、カメラマンのみが製作物を使用する、カメラマンの個性を前面に打ち出したいという趣旨で作品撮りが設計される場合は、発生する費用はカメラマン側が基本的に負担するべきだと思っています。このような場合はカメラマンが依頼者、その他の方々は被依頼者となります。
製作物となる写真の扱いについても同様に、どのような使用をするのかを予め確認することが望ましいです。例えば、TwitterやインスタグラムなどのSNSなのか、自身のホームページなのか、ブックやポートフォリオといった冊子形式になるのか、などです。
■製作する写真の設計
作品撮りにおいては、その製作物におけるイメージを自由に設計できます。上記関係者が集まった作品撮りとなった場合は、この設計段階から参加してもらうことが望ましいです。この段階では、どのような写真を撮りたいか、最終的な目標となる写真イメージについてお互いに調整します。もちろん、条件さえ揃うならば色々なパターンが撮影できるので、関係者の意見を取り入れながらいくつかのパターンを当日は撮影するというようにするのが無難だと思います。
そのように、どのような写真を撮るのか決まったならば、日時と場所などの調整が始まります。
■ロケハン
各関係者は作品撮りの当日までにそれぞれの準備をおこなうと思いますが、カメラマン側の事前準備をご紹介したいと思います。カメラマンの事前準備として代表的なことは、ロケハンと撮影使用許可の取得です。
ロケハン(「ロケーションハンティング」の略語)とは、撮影する現地の視察のことを指します。以下では人を撮影する場合のロケハンで紹介します。まずは、どのポイントで撮影をするかを見定めることです。人をメインに撮影する場合、同時に写る背景情報をどのように整えるかが重要な項目となります。また、撮影時の安全確保も念頭に置く必要があり、障害物の有無や地面の状態、通行する人や自動車の頻度などを確認して、当日関わって下さる全ての人・周囲の設置物や人などの安全を確保する必要があります。
もう1つ代表的な作業が、撮影使用許可の取得です。公園などの屋外、スタジオなどの屋内であれ、基本的にどのような場所で撮影するにしても、その場所を管理している団体や人から、撮影で使用することの許可を得る必要があります。管理している団体に対して撮影の計画を説明して、撮影で使用することの許可を得てくることもカメラマンの仕事です。
■当日の進行
当日の進行において僕自身が重要だと思っている点は、撮影データを現場において関係者が細かく確認していくことです。なぜならば、“撮影”という作業はこのタイミングしか基本的に発生しないので、後日撮り直すということが難しいからです。
撮影作業を担当するカメラマンは撮影した写真がどのような形になっているのかをカメラ背面モニターですぐに確認することができるのですが、作品撮りに多くの人が関わってくるほど丁寧な進行が求められます。撮影時には、どのような項目が該当したら撮り直しするかをお互いに確認したほうがいいと良いと思います。もちろん、画像処理において多少の補修作業はできるのですが決して万能というわけではありませんので、撮影時に万全の状態に整えることが理想的です。
■発表物の相互チェック
撮影した写真データは基本的にカメラマンが持ち帰り、写真データの選別をおこなった後に補修作業をおこない、1次仕上げデータを作成します。
作品撮りは自分ひとりで完結するものではありませんので、この1次仕上げデータを基にして、最終的にどの製作物が発表されるかについては作品撮りに関わった人たちの合意が取れたものにする必要があります。最終的な製作物にするまでに、2次~3次と補正作業が組まれることもあります。
データの転送方法として代表的なものとしてギガファイル便やGoogleドライブ等が挙げられます。ただ、データの受け渡しにおいてはそれぞれの環境(スマホ、パソコン、閲覧ソフトなど)によって事情は異なるので、お互いに確認が必要です。
最後に、発表する際のお名前の表示形式についてもお互いに確認したほうが良いと思います。特にSNSの場合、ハッシュタグの付け方など細かく設定したほうが、お互いのプロモーションに繋がるためです。
以上が「作品撮り」に関する僕自身の考え方です。
カメラマンも含めクリエイターの活動は1人で完結するとは限らないため、多くの協力者を求めています。
もし作品撮りをご一緒できる方がいましたら、ぜひご連絡頂けると嬉しいです。
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