レンズ交換式カメラの特徴【カメラ入門講座 -1】

みなさん、こんにちは。

カメラマンの野口悠治です。

今回から「カメラ入門講座」として、初心者を読者と想定して、記事に執筆をしています。皆さんの写真活動がより豊かになれば僕としても嬉しく思います。

第1回目のテーマは「レンズ交換式カメラの特徴」です。

スマートフォンやコンパクトデジタルカメラのほとんどのカメラにおいては、レンズはカメラ本体にはめ込まれた形で製品化されていてレンズを取り外すことができませんが、コンパクトデジタルカメラは洋服のポケットに入るような大きさとなっていて非常に取り回しの良いカメラです。

しかし、そのような取り回しのしやすいカメラではなく、僕のようなカメラマンをはじめ、これを選ぶ人はなぜレンズ交換式カメラを使用しているのでしょうか。今回は、レンズ交換式カメラに興味を持ち始めている方に向けてレンズ交換式カメラについて説明しようと思います。

目次

レンズ交換式カメラの外観

レンズ交換式カメラとは、その名の通り、レンズをカメラ本体から取り外し交換することのできるカメラのことを指します。レンズを除いた本体のことを「ボディ」と呼び、カメラと言う場合はレンズを含めた一式のことを指す場合が多いです。ボディの内部に、光を電気信号に変換するセンサーが組み込まれています。

 ボディとレンズにはそれぞれに対応した「レンズマウント」と呼ばれる接続パーツがあり、ここを用いてレンズの脱着をおこなうほか、接続時には電気的な通信もおこなわれます。カメラを使用しない時には、「レンズキャップ」「ボディキャップ」と呼ばれる蓋で覆っておき、ゴミなどの混入を防ぎます。ちなみに、「レンズマウント」はメーカーやブランドごとに異なるので、ボディとレンズを別で購入する場合は注意して頂きたい。

 レンズ交換式カメラの操作のほとんどは、ボディに配置されたボタンやダイヤル、レバー、タッチパネルなどで受け付けることができます。最初のうちはこの複雑な操作に嫌気がさしてしまう方もいると思いますが、慣れるまでもう少しの辛抱です。撮影者がこのような複雑な構造に助けられるのは、例えば撮影現場で素早く設定を変更したい時などが挙げられます。ダイヤルひとつで設定を変更できるというのは非常に便利です。

 このように、非常に複雑化したカメラですが、それに比例するように多機能なカメラです。当方においても、あまり使っていないボタンは存在するし、使っていない機能もあります。それは、レンズ交換式カメラのポテンシャルがいかに広く高いかということを物語っています。

レンズ交換式カメラの魅力:撮影者の意図を反映させやすい

 レンズ交換式カメラの利点は、撮影者の意図をカメラ操作に反映させやすい点にあると思います。基本的な思想として、レンズ交換式カメラというものは、様々な被写体を、様々な状況で撮影するということが求められ、さらに撮影された写真が最適なものになることを目指しています。特徴のあるレンズが多様にあり、それぞれ違った様子の写真を作り出すことができます。それらは撮影者の意図に応じて選択され使用されています。

レンズを交換するという時には大きく分けて2つ理由があると思います。第1の理由は、「画角」(どのくらいの範囲を写すか)に関係することであり、撮影者の移動が制限される条件でも臨場感ある写真を撮影したいからです。例えば、遠くの被写体を写したいという場合には「望遠レンズ」と呼ばれる非常に長いレンズをボディに装着させます。自身が被写体の近くまで行けない場合には非常に有効な手段となります。例えば、野生生物などの撮影においては、撮影者が近づいてしまうと野生生物は警戒して逃げてしまうこともあるし逆に危険を感じて襲ってくることもあるでしょう。そのようなときに、野生生物を刺激しない遠くの場所から撮影をおこなうことができるという点で「望遠レンズ」は非常に重宝するレンズでありレンズ交換式カメラの良さです。その逆で、非常に広い領域を写真に収めたい場合には「超広角レンズ」というものを用います。これによって、後ろに下がることができない場合においても、広い範囲を撮影することができます。いずれの場合においても、撮影者の移動が困難な場合においてもそのシーンで求められる臨場感ある写真を撮影することを可能にします。

レンズを交換する第2の理由は、描写に関係することであり、単に写る以上に、その写真において強調したい事項がある状況があるからです。例えば、被写体と背景を分離させて被写体が浮き出るような写真にしたいという意図や、実際より大きくダイナミックに見せる写真にしたいという意図、大きさを正確に伝えたいという意図など、特別な理由がある場合にはその理由に対応したレンズへ交換が必要になることがあります。今回は入門編として記述しているので、この領域についてはまた追って書きたいと思いますが、レンズによって写り方が全然違うということだけ知っておいてもらいたいと思います。

レンズ交換式カメラの欠点:手間がかかる

レンズ交換式カメラの場合、以下4点の課題が発生します。これらはレンズを交換することのできる機構を採用しているため、構造上必ず発生してしまうものです。

第1に、ゴミや汚れの写りこみが発生する恐れがあります。センサーにゴミが付着した場合は撮影した写真に黒い点としてかなり明瞭に写りこむことがあり、特に気を付けたほうが良いです。ただ、レンズの前側に付着したゴミや汚れはそれほど大きな問題とはならないことが多いです。注意すべきはレンズ脱着時であり、内部へのゴミの混入などがないようにしてほしいです。

第2に、ボディとレンズの接続部において強度が落ちることです。強い衝撃が加わった場合、まず先に破損するのはこの接合部です。経年で歪みが発生することもあります。ストラップ等を使用して、落とさない工夫を講じることをお薦めします。

第3に、「電子接点」と呼ばれる電気的な接続端子への扱いが難しいということがあります。このページは入門編であるので、基本的に触らないようにしたほうがいいとだけおきます。

第4に、かさばる・荷物が増える・重いといった運搬上の課題があります。残念ながら、レンズ交換式という機構のため、この課題への根本的な解決は難しいです。ただ、ある程度撮影する写真イメージを撮影者自身が持っている場合は最低限のレンズを持ち運ぶだけで充分なケースがほとんどでしょうし、またはいわゆる「便利ズーム」と呼ばれるズーム域が広いレンズを使用すると荷物も減ると思われます。

以上のような課題があるのであるが、必ず発生する課題であるからこそメーカー側も配慮した設計をしているし、量販店などに行けば様々なメンテナンスキットが取り揃えられています。また、お金はかかってしまいますが、各所で清掃サービスを受けてくれるショップも存在しています。撮影者自身が気を付ければ大して問題に発展することはほとんどありません。

ここまでお読み頂いてありがとうございました。

少しでもレンズ交換式カメラの面白さが伝わっていれば幸いです。

定期的にこのシリーズは掲載していきますので、またお読み下さると嬉しいです。